会派代表質問・一般質問一覧要旨
- 会議名
- 令和7年12月定例会
- 質問日
- 令和7年12月9日
- 区分
- 一般質問
- 議員名
- 若月学
- 資料
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要旨
1 熊から市民の生命を守る
今年度、熊の出没通報が急増し、10月初旬までに83件に達しております。特に市街地・民家敷地内での出没が30件以上を占め、これまでの山間部中心の出没傾向から明らかに変化が見られます。さらに、東小学校、東中学校付近や松浦保育園付近までに熊の出没があり保護者の方々から不安の声がたくさん寄せられています。また、二本木地内では警戒中の猟友会員が熊に襲われ負傷する事案も発生し、人命に危険が及ぶ事態が相次いでいます。
また、今年はブナ等の餌資源が不足し、熊が越冬のため脂肪を蓄える「食い込み期」に人里へ下りて柿など木の実を得に来ている状況が続いております。ツキノワグマは6〜7月に繁殖期を迎え、冬眠前の晩秋は活動が最も活発になることから、まさに今が最も警戒を要する時期であります。
こうした中、本市では緊急銃猟を想定した訓練等も8月に実施し、迅速な対応に努めていただいておりますが、出没の広がりと件数の増加に対し、担い手不足や対応の限界も指摘されております。猟友会の高齢化は深刻であり、山間部を中心に安全確保に必要な人員確保は急務です。さらに、全国では、自治体職員が狩猟免許を取得して現場確認や誘導を行う「ガバメントハンター」の導入、また警察が機動隊による射撃チームを編成し、危険個体の排除にあたる動きも進んでおります。本市としても、国・県の動向を踏まえ、実効性ある体制整備を急ぐ必要があります。熊による被害は、これまでの「山の問題」ではなく、もはや「地域全体の安全保障」と言うべき段階に来ております。短期的な危険回避と、長期的な人材・体制づくりを両立させる政策を強く求めます。これらを踏まえ質問いたします。
(1) 緊急銃猟と市の体制について
@ 本年度(現在)の緊急銃猟の実施件数、判断基準、実施時の安全確保策について伺う。
A 対応に当たる猟友会の現状と課題、特に担い手不足に対する市の支援策について伺う。
(2) 対策強化について
@ 市街地や住宅地周辺の出没が増えている。学校、保育所、高齢者施設等に対し、朝夕を中心とした警戒情報の即時発信、巡回強化など、現時点での具体的な安全確保策について伺う。
A 柿や果樹の放置等が熊の誘引となっている。農家や住民に対する回収支援・啓発体制をどのように強化するのか伺う。
B 森林環境税を熊対策を目的とした活動(森林多面的機能発揮対策交付金など)に充当して事業促進できないか。
(3) 人材の確保について
@ 自治体職員の狩猟免許取得を促進し、「ガバメントハンター」的な役割を担う人材を育成する考えはあるか。
A 箱わな設置や見回りを支援する「チーム」の創設について、市としての検討しているか。
(4) 国県との連携について
@ 危険個体が居座った場合の、県警機動隊等の支援要請の手順と、広域での連携体制についてお示しください。
A ガバメントハンター育成や捕獲資材、防護柵、餌資源管理等に対し、国の補助制度の拡充を要望すべきと考えるが、市の見解を伺う。
2 災害時の地下水利活用について
近年、全国的に災害が激甚化・頻発化する中で、災害時の水源確保は地方公共団体にとって喫緊の課題となっている。令和6年能登半島地震では、石川県内で死者659名、被災住宅116,000棟以上に及び、断水は輪島市で約11,400戸、珠洲市で約4,800戸など、復旧まで数か月を要した。断水が長期化する中、石川県では地域住民が井戸を自発的に開放し、生活用水を確保する事例が見られた。
これは、災害時における地下水の有用性を改めて認識する契機となった。国は、こうした教訓を踏まえ、令和7年3月に内閣官房水循環政策本部及び国土交通省により「災害時地下水利用ガイドライン〜災害用井戸・湧水の活用に向けて〜」を公表し、地域における災害対応力の向上を目的として、個人や事業者が所有する井戸や湧水を市町村に登録する「災害時協力井戸制度」の導入を推進している。
当市の地域防災計画(資料編)では、消防水利として「防火井戸」90か所が掲載されていることと、融雪施設を活用した消火・防災井戸の仕組み「防災井戸バンクシステム」も市内の一部で導入されているなど、地下水を活用した防災の基盤は存在している。
しかしながら、国が推進し、少ない予算で迅速に災害時の水源を確保できる「災害時協力井戸制度」は、現時点で当市では導入されていない。「災害時地下水利用ガイドライン」では、「災害時には、各種備蓄・給水車による支援や支援物資等により、飲用水が確保できることが想定される。その一方で、特に断水が長期にわたる場合などは、災害後の避難生活において必要不可欠な洗濯や風呂、トイレ等の生活用水の確保が困難となることが想定される。」と問題提起している。
(1) 現在、当市の地域防災計画における地下水・湧水利用の位置づけはどのようになっているのか。
(2) 地域防災計画では消防水利として防火井戸が90箇所あるが、井戸水の水位や水量、水質などはどのように確認しているのか。
(3) 市の地域防災計画の実効性を高める有力な方策として、国のガイドラインに基づき井戸の把握を行い、「災害時協力井戸制度」の登録体制の整備を実施してはどうか。