会派代表質問・一般質問一覧要旨
- 会議名
- 令和7年 2月定例会
- 質問日
- 令和7年3月13日
- 区分
- 会派代表質問
- 議員名
- 小柳はじめ (ひらく会)
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- 資料
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要旨
1 人口減少に対してはUターン施策への集中と集住化を進めるべきだ
新発田では消滅可能性都市にリストアップされた、いわゆる「増田ショック」を機に、人口減少対策として他地域に先駆けた移住支援政策や住居の支援、子育て支援策を矢継ぎ早に繰り出し、人口の社会減を食い止めた事は一定の評価に値する。
しかしながらその内実は、周辺市町村からの転入に支えられ、相変わらず進学を機に上京し、そのまま戻ってこない若年層の数で相殺されて来たことは各種統計を見れば自明であり、結局のところ地域内で「人口の誘引合戦をやっていただけ」となってしまった。
人口減少は今や日本全国の問題で、新発田単独で解決できる話では無い事は承知の上で今後の方向性について伺う。
(1) しばたサポーターズクラブはコロナ禍を経てやめてしまったが、「首都圏へ流出した若年層」のつながりを維持することこそが、Uターンへの本丸だ。現在は自主的活動が続いてはいるが、財政支援など市として積極的に関与すべきで無いか?
(2) 同窓会開催支援メニューは「ふるさと回帰+同級生婚姻」の大きなキッカケになることは他市事例を見ても明らかで、以前の一般質問では「他市では高年齢層ばかり利用する」など的外れな答弁が目に付いた。例えば「中学校卒業後5年毎で20年まで」のようなルールであれば少ない財源で大きな効果が見込めるので無いか?
(3) 人口社会減については首都圏の大災害などでも無い限り、抗えない事象として受け入れるしかない。「緩やかな人口減少下」を許容しつつ、幸福な市民生活を提供する為には、拡大した市街地を整理し、コンパクトシティ化を指向するしか無い。駅前通に高層マンション建設が計画されているが、病院も有り、アーケードでつながる駅〜市役所間で集住政策を立案してはどうか?
(4) 昨今は公務員と言えども採用は厳しくなってきている。市長は「当市はお陰様で心配ない」とは答弁しているが、「そんな甘く無い」と忠告する。今後、親世代の老齢化で50代の介護需要も増えてくるが、首都圏へ流出した「就職氷河期世代」を念頭に置き、労働需要不足と高度なノウハウを持った人材のUターン、親世代の安心を同時に実現させる、採用に関してのプログラムを立ち上げてはいかがか?
(5) 市長は「食品製造業が雇用の核」と以前答弁しているが、首都圏に流出する若者層、特に女性ほどこのような業種への就業を目指していない。新潟市では新潟2kmのかけ声の下、新潟駅周辺にIT企業の誘致で一点突破を計っておりその効果が現れ始めている。ポップカルチャーとの親和性が高い新発田では、アニメ制作やゲーム開発拠点整備などに力点を置いてはどうか?
2 ふるさと納税で50億円を目指すと共に新たな財源を検討すべき段階だ
今年度から直営方式から民間委託へ舵を切ったふるさと納税だが、既に過去最高の数字を記録した。勿論、米の高騰による外的要因による追い風も大きかったが、なにより民間ノウハウによる見せ方の工夫や、広告を始めとする発信力強化が大きいと分析している。現在の地方でこれほど「ありがたい財源」は無い状況下で、更なる寄付額拡大を目指して今後の方向性について伺う。
(1) ふるさと納税は新発田の食料生産額から考えてまだまだ伸びしろが大きいと推察し、具体的には50億円はクリアできると考える。そのために今後は、定番の農水畜産物に加え「コト消費」に関する返礼品を強化すべきと考える。現在も「ゴルフ」や「月岡温泉宿泊」はあるが交通手段を組み合わせるなど更に寄付単価を高める工夫が必要で無いか?
(2) 今まではリピーターへのアプローチが徹底されていなかったが、LINE公式アカウントなどの活用で、通年でのリアルタイムな発信を強化してはどうか?例えば「獲れすぎた野菜や魚」「生産過程でのB品」など即時性の高い情報で囲い込むなど「おもしろさや意外性」と「実用性」を兼ねて運用すれば相乗効果が発揮されるので無いか?
(3) 企業版ふるさと納税を活用して、当市での映画やアニメ制作の制作支援を行ってはどうか?また、ふるさと納税について、企業イメージのアップに加え、産品を渡して終わりで無く、公開後の聖地巡礼や地域ブランド力の向上、なにより市民の「シビックプライド」向上に期すことが出来るので無いか?
(4) 以前の市長答弁で「導入のつもりが無い」と断言した宿泊税だが、魅力有る観光資源へ向けてのバージョンアップのためにも導入を検討する段階だ。担税力の面からも現在一律の「入湯税」だけでは富裕層に対する課税余力は充分に有ると考える。他地域ではオーバーツーリズムによる問題が噴出してからの対応が多いが、やると決めても実現までには5年はかかる。今後、新発田が新たなフェーズで観光客を誘致するための有効な投資の為の財源となるので無いか?
3 城ブーム沸騰のなか文化的資産を最大限活用すべき好機だ
京都をはじめ有名観光地のコロナ後はインバンドが絶好調だ。外国人観光客が増えすぎて「オーバーツーリズム」が社会的問題と化し、地価や労働単価上昇まで起こっている地域がある一方で、その恩恵が「スキー場に偏重」している新潟県は、宿泊部門では稼働率が周辺県より10ポイント以上も低迷し、客室単価の下落と諸経費高騰の挟み撃ちに遭っている。銀山温泉や蔵王を擁す山形、松本城や上高地の長野など隣接県の中で、国際線が複数有る拠点空港を持っていながら新潟だけが「置いてけぼり」状態である。そのような状況の中で、国はインバウンド客の地方への分散を掲げ、様々な施策を打ってきており、昨年には佐渡島が世界遺産に指定されたことから、本土側のベースとして新発田の潜在力は相対的に高まっている。この機を狙った施策について伺う。
(1) 新発田には県内唯一の往時の「城」が現存している。国宝5城や現存天守12城には叶わなくとも、その次のランクに位置するが、イマイチその発信力は弱い。城マニアで度々当市を訪れている「昇太師匠」はNHKの番組で「自衛隊が隣り合わせの新発田城はある意味最強の城」とコメントしたが、正統派の目線で無くこのような「今風のバズリワード」を使っても良いのではないか?
(2) 「峠ラストサムライ」や「十一人の賊軍」のロケなどで盛り上がった新発田ではあるが、馬娘のオッチャホイや金カムの白壁兵舎等の聖地巡礼程のフィーバーには至らず、話題は胎内市ロケの映画撮影へと移ってしまった。ももクロ公演も同様であろうが、一過性の話題に乗じての情報発信は出来ていても継続性のある「地域ブランド力向上」に結びついているとは到底言い難い。専任者を採用するなど外部ノウハウを活用すべきで無いか?
(3) 特養二の丸移転を受け、土橋門整備をはじめ、従来からの整備構想が一気に進みつつあるが防災公園との一体的な整備を行うべきだ。その中でも請願が採択されている「美術館と博物館=ミュージアム」新設に関しても検討が始まった。市長は学芸員が常駐し博物館法に基づく「ミュージアムでなく資料館を作るのだ」と強弁しているが、やや方向性がずれているので無いか?国のインバウンド地方分散やカルチャーツーリズムの様々な財源の中から、「歴史遺産の活用と文化的な発信」を当てはめて推進すべきでないか?
4 給食無償化が見えてきた今、先行して様々な手を打つべきだ
先の定例会で「給食無償化の意見書」が全会一致で採択され、今国会では「2026年度からの小学校給食無償化」がほぼ固まった。今や与野党問わず、国民的な共有の課題となり一気に決まった感があるが、当市では「食育」の理念を基に「地産地消食材」活用、「除去食」対応などで先進的な取り組みが続いてきたと評価する。新発田が「食育の聖地」として新たなランドマークになるべく提案をしたい。
(1) 給食無償化は私も含め主導的に論戦を張った佐藤真澄元議員など多くの質問に対して市長は「やりたいが財源の問題」であると毎度答弁している。再来年度以降、財源に一定の目処がついた訳で、市長お得意の「先取り政策」を発揮して市単独で「中学校への拡大」を検討してはいかがか?中学だけならふるさと納税の増収分でカバーできるはずだ。
(2) 会派で給食調理場を視察した際、ちょうど七夕で「七夕汁」に加えデザートが足されていた。子供の貧困が社会問題になっている中、成長発達段階でこのようなイベント体験は貴重で有り、「季節イベント給食」は子供の学校生活での最大の楽しみなのだという。そのような「追加1品」はせいぜい単価数十円だが、月1回の予算も厳しく、普段の食材を工夫して捻出しているという。新発田独自で一人あたり年間1,000円の「季節のイベント1品」予算をつけてはいかがか?年800万円程度の予算なら出来るはずだ。
(3) 当市はオーガニックビレッジ宣言を行っているが、その作物の対象は輸出米の高付加価値化に主眼が置かれている。それは正しい選択であるが、地域としての気運を盛り上げ、ブランド化を更に強化する為には、給食へのオーガニック食材導入が効果的だ。先日の議会勉強会では生産者の苦労を聞かせてもらったが、それに呼応する収入が確保できれば「取り組む価値」があると話していた。今後の若年農業従事者の確保の側面からも、生産量の増大や品目の拡大に対するインセンティブとして、「給食での買取」を担保してはいかがか?
5 DX強化と連動してあらたな地域協働社会を構築してはどうか
民間と比較して役所のDX化の遅れについては過去何度も指摘している通りであるが、感覚として大企業が現在の令和とすれば、中小企業が平成、市役所は昭和といったところであろう。そんな中、当市でも県内では比較的早くRPAの導入、LINE公式や子育てチャットボットの活用、来年度はノーコードアプリの導入とようやくエンジンがかかってきている。今後の方向性について伺う。
(1) マイナンバーカードと市独自の住民サービスの連携を強化し、とかく人的なリソースに頼り切っている状況を脱し、行政効率を飛躍的に上げるような施策を考えてはいかがか?
(2) 今後の共創社会実現のためのインフラとして「地域通貨」を活用している自治体がじわじわ増えている。マイナンバーカードと連携し、市民協働の事業や健康作り、行政サービス決済などその活用は無限にある。市長は「導入のつもりは無い」と断言しているが、高齢者にもスマホが普及した今、低コストで運用できる仕組みを構築してはどうか?
(3) 役所でDX化が遅々として進まないのは、高い秘匿性、公平性、ローカルルールの多さなどがあろうが、最大の敵は「職員の問題」では無いか?民間でも同様だが「定年までもう少し」と幹部層が先送りを画策しているように見えてしまう。DX化は百年の計であると認識し、思い切って10年20年先のメリットを実感できる若手や中間層に事業推進を任せてみてはどうか?