2024年度の介護報酬改定において身体介護、生活援助の訪問介護の基本報酬が4月から引き下げられた。これにより、小規模な訪問介護事業所の倒産や人手不足に拍車がかかり、訪問介護サービスが受けられなくなる要介護者が増加するおそれがある。民間調査会社の調査によると、2024年1月から6月の半年間の訪問介護事業者の倒産は、過去最高だった2023年の年間67件の半数を超える40件となっている。
厚生労働省は、訪問介護の基本報酬の引下げの理由として、訪問介護の利益率が他の介護サービスより高いことを挙げている。しかし、これはヘルパーが効率的に訪問できる高齢者の集合住宅併設型及び都市部の大手事業所が利益率の平均値を引き上げていると推測されることから、厚生労働省が理由とすることが合理的なものか実態の調査が必要である。
厚生労働省は、訪問介護の処遇改善加算について高い加算率に設定したと説明しているが、運営資金につながる基本報酬を下げてしまえば、小規模な事業者の経営の厳しさに拍車がかかることは明白である。訪問介護の基本報酬の引下げによって、将来的には地域包括ケアシステムが崩壊し、介護保険制度による「介護の社会化」に逆行する事態が起きかねない。
よって国会並びに政府におかれては、以下の事項を速やかに実施するよう強く要望する。
記
1 在宅介護の基盤を存続させるため、訪問介護の基本報酬引上げを行うこと。
2 訪問介護事業所の経営難の原因の1つになっている人手不足を解消するため、介護従事者の更なる処遇改善を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月26日
新潟県新発田市議会
( 提 出 先 )
衆議院議長 様
参議院議長 様
内閣総理大臣 様
財務大臣 様
厚生労働大臣 様