請願第9号 直轄事業の継続と適正な維持管理、地元建設業への支援を求める意見書提出に関する請願書
受理日:平成24年2月29日
付託委員会:経済建設常任委員会
付託日:平成24年2月29日
審査日:平成24年3月7日
審査結果:採択(全員賛成)
議決日:平成24年3月12日
議決結果:採択(全員賛成)
採決状況:
賛成26、反対0
中村功
渡部良一
五十嵐孝
宮島信人
加藤和雄
渡邊喜夫
請願趣旨及び請願項目
政府は一昨年6月22日に「地域主権戦略大綱」を閣議決定し、各省庁は昨年8月までに「自己仕分け」を行って、それぞれが公表したところです。この「大綱」では、「道州制」についての検討も射程に入れていくとしつつ、今後は一昨年12月の「アクションプラン」に基づき「国の出先機関原則廃止」に向けて「財源・人員の取扱い」の検討に入ることになっています。
しかし「平成の市町村合併」と「三位一体改革」に見られたように、政府は、国家財政の健全化のためと称し「地方交付税」と「国庫補助負担金」を削減したように、地方財政の困窮や破綻は眼中にありません。加えて、道州制に向けた市町村のさらなる合併が進むことで住民の権利が行使しにくくなり、今の地域主権改革は「地方が主役の国づくり」とは名ばかりの住民自治解体への体制づくりが行われようとしています。
このような地域主権改革を推進することは、国は自らの責任を放棄し、責任を地方自治体へ押しつけることになるとともに、地方自治体の地域間格差を一層拡大させ、公平・公正な行政サービスを脅かすこととなり、決して住民にとって有益であるとは思えません。
一昨年末から昨年にかけて、北日本から西日本の日本海側で大雪となり、全国平均の累加降雪深が過去5年平均の約1.4倍を超えるなど、記録的な大雪となりました。国道8号(福井県内)、9号(鳥取県内)、49号(福島県内)で大雪に伴う通行止めが相次ぎ発生し、国民生活へ大きな影響を及ぼすなど深刻な状況となりました。加えて昨今、頻発する集中豪雨や土砂災害による被害も各地で増加しています。その際、被災者の救出や災害復旧のため、真っ先に必要なのは建設機械や資機材のほか、これらに従事する建設労働者です。しかし、地域の建設業は公共事業予算の削減とこれによる低価格競争により疲弊していることにより、災害時に出動できる建設業者と建設労働者は弱体化しています。加えて、地方経済において、建設業は基幹産業であることから雇用対策や経済にとって重要かつ不可欠な存在です。
地方部は地滑りや雪崩等の危険箇所も多いことから、災害を予防するための公共(防災)事業予算の確保に加え、災害復旧や復興への備えとして地元建設業と建設労働者の育成を行うことは極めて重要です。
2009年11月の「事業仕分け」で国が建設管理する直轄国道の維持管理費は「10〜20%削減」と判定され、一昨年4月から道路巡回の半減や除草・清掃などの回数が大幅削減されました。しかし、河川や道路などの施設を健全に保ち、災害時の被害を未然に防ぐための点検や保守などの維持管理は強化こそ望まれるもので低下すべきではありません。特に築後50年を越える施設が急速かつ大幅に増大することから、施設の点検、維持、修繕を総合的かつ計画的に進めていくための予算確保が重要です。
しかし維持管理費の削減は、路上落下物が長時間放置されることによって交通事故の発生確率が増加し、除草の縮減による害虫の発生は農作物への被害につながり、高い草丈による視認距離不足は道路利用者の安全運転に影響しています。また、河川管理においても維持管理費が同様に削減され、管理レベルが低下することは河川災害の危機を高めることになり、広範な住民の生命や財産が危険にさらされようとしています。
ご存じのとおり、国の公物管理は特に重要な施設を担当していますが、その機能確保などは連続的かつ広域的に対応することが最善であり、引き続き、国が行うべきであると考えています。
さらに、緊急的な災害復旧が困難な地方自治体への支援は、被災地以外から求めなければならないことから、国が行うことで、より速く確実に対応することができます。
特に災害時は、大規模な人的支援や建設機械の導入、機器の保有・保管や高い技術力を要するものであることは間違いありません。そして、国民の生命と財産・生活を守る上で、国土保全を専門的に実施し、大規模災害の対応経験が豊富で、専門的な高い技術力を備えた国土交通省の各地方整備局や事務所が実施することが、最も適切であると自負しているところです。
そのため、新潟県全域の防災支援を担う国土交通省北陸地方整備局及び下越地域を管轄する新潟国道事務所、新発田維持出張所をはじめとする各出張所を存続することは、業務を担当する職員の立場としても、不可欠であると考えています。
昨年発生した東日本大震災は未曾有の被害をもたらしました。東北地方整備局管内の事務所・出張所は自らも被害を受けながら、緊急復旧のための道路網確保や堤防点検・応急補修などに全力を挙げ、全国の各地方整備局からも応援を派遣しています。今後の本格的な復旧・復興に向けて、道路や河川など公共事業分野で国の責任を果たすために、国・地方整備局が全力を挙げることは当然のことです。
地域主権改革で国の出先機関が廃止されるなら、公共事業などを通して国民の安全安心を守る責任を果たすべき国の機関も人員も機材も無くなり、災害時に地方と住民への直接的な支援が出来なくなり、国は地方に指示するだけで、予算も含めてその責任を地方に押しつける事態になってしまいます。
地域主権改革は道州制をめざしていますが、道州制論議について、信濃毎日新聞の昨年3月27日付社説は、「道州制論議がくすぶっている。今度の災害の前に道州制が実施され、巨大な『東北州』政府が発足していたらどうだろう。岩手・宮城・福島・・。地域により必要とするものは違う。刻々と変化もする。その時東北州政府はきめ細かな支援ができるだろうか。州政府の下に再編され、規模が大きくなった市町村は、住民のよりどころになれるだろうか。大規模災害が起きたことを考えても、道州制にはやはり賛成できない。」と述べています。住民の生命と財産を守る防災・国土保全は国が直接責任を持つべきであり、ここに地方の声があるのではないでしょうか。
貴議会におかれましても、私たちの要求と運動にご理解頂き、下記請願項目の実現に向け、関係機関への意見書提出など最大限のご協力を賜りたく請願するものです。
記
1. 国民の生命・財産を守るために必要な公共事業については、引き続き国がその責任において実施することとし、国土交通省の地方出先機関を廃止しないこと。
2.地震・津波・豪雨・豪雪などに対する防災対策を全面的に見直し、支援体制と防災予算を拡充すること。
3.道路・河川などの公物を健全に保つために必要な維持管理予算を増額し、住民の安全・安心につながる適正な維持管理を実施すること。
4.地方経済を支えるとともに災害対応の体制強化のため、地元建設業と建設労働者の育成のための適切な措置を講ずること。
平成24年2月22日
新発田市議会議長 宮野 昭平 様