議会第21号 TPP参加交渉における情報公開と国会審議の徹底を求める意見書
議決日:平成27年12月22日
議決結果:可決(賛成多数)
採決状況:
賛成21、反対5
TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加各国の閣僚会合は10月5日、「大筋合意」に達した。しかし生産現場には「農産物重要5項目」の関税堅持を求めた衆参農林水産委員会決議が守られたのか疑問の声が強いほか、5項目にとどまらず全ての野菜や主要果実の関税撤廃など、これまで国民にまったく知らされていなかった合意内容が次々と明らかになり、大きな衝撃と不安が急速に広がっている。
農産物重要5項目を含め日本が過去に関税撤廃したことのない農林水産物834品目のうち半数近い395品目で関税が撤廃され、農林水産物全体(2328品目)では81%に当たる1885品目で関税が無くなるなど、日本の1次産業がまったく前例のない空前の市場開放を強いられる今回の「大筋合意」の内容は、明確に国会決議違反であるのみならず、安倍政権の掲げる農業・農村所得増や食料自給率向上、飼料用米の推進などの政策も全く整合性、一貫性が取れておらず、地域社会に与える影響も甚大である。
TPPは国家主権や国民生活よりも、グローバル資本の利益を最重視する不平等な新自由主義協定であり、その影響は農と食との安全・安心、医療、労働、環境、知的財産など国民の命と生活全般に及ぶ。「ISDS(投資家・国家訴訟)」条項で一国の司法権や行政権を超えてグローバル企業に強大な訴訟権を与える主権侵害の恐れも強い上、国民の知る権利をないがしろにし国会にすら未だ情報開示しない秘密主義など問題点が山積している。
また米議会からは今回の同意内容に批判噴出しており、このままでは議会の承認が得られないと米政府が判断すれば、日米間の合意事項も再交渉を迫られ、更なる譲歩を強いられる恐れも拭えない。これ以上、日本がTPPの枠組みにとどまる事は国益を大きく損ね、地域社会の衰退・切捨てにつながりかねない。TPP調印作業において全ての見直しを行い徹底した議論を求めるものである。
よって新発田市議会は、下記の事項について実現することを求める。
記
1.政府はあらゆる関連文書及び農林水産業をはじめ国内産業に与える影響額の試算などを直ちに公表すること。
2.あらゆる情報を開示した上で国会で徹底した議論を行い、拙速かつ安易な署名や承認を行わないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年12月22日
新潟県新発田市議会
( 提 出 先 )
衆議院議長 大 島 理 森 様
参議院議長 山 崎 正 昭 様
内閣総理大臣 安 倍 晋 三 様
内閣官房長官 菅 義 偉 様
農林水産大臣 森 山 裕 様
経済再生担当大臣 甘 利 明 様